フランスに勝ったフランスサッカー
2002年シーズンにおいて、セネガル代表が採用した4-5-1フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2002年日韓W杯の代表メンバーからの想定図になります。
本当は大番狂わせを演じた予選リーグのvsフランス戦のメンバーにしようかと思っていたのですが、webサカでは、左の下がり目サイドハーフがキーポジなので、そこがファディガの位置になるとしか思えません。 そうなると、本来のファディガのポジションである左の上がり目ウイングハーフとは別の配置を考える必要がありました。
よって、この想定図はフランス戦のメンバーとは異なるメンバーになります。 なお、フランス戦の場合は、A・カマラのROHにエンディアイエ、エンディアイエのLOHはファディガ、LWB(というか、LDH)にS・ディアオが入ります。
閑話休題。以下は、本想定図のメンバー。1トップには、当時のアフリカNo.1FWであるディウフが入ります。「セネガルのクライフ」の異名を持ちますが、ゲームメイクするわけでなく、爆発的なスピードで敵陣を切り裂くストライカータイプです。
それをサポートするウイングハーフにカマラとエンディアイエ。カマラはウイングタイプのスピードスター、エンディアイエはパス出しやポジショニングの上手いタイプです。
左のサイドハーフには、このチームのゲームメイカーであるファディガ。ボールを受けてからドリブルで前線に持ち込み、ラストパスを出すといったプレーを得意としてます。右のサイドハーフは長身のP・B・ディオプ、中盤の守備的選手ですが空中戦に強いなどフィジカルコンタクトにたけています。
中盤の底にキャプテンのシセ。本来のセネガルはダブルボランチと4バックの間にシセがアンカーとして入るというシステムになります。この想定では、ダブルボランチではなく左右サイドハーフに1ボランチのように見えてしまいますが、Webサカでは、キーポジの説明にも「スイーパー」とあるように、4列目の適性がある程度ないと優秀なDHでも能力を発揮しえないケースがままるようです。
左右のサイドバックはともに攻撃的なタイプで、センターバックはフィジカルに長けるタイプ。全体的にスピード感に溢れるDFラインになります(ゲームでLCBはパワータイプですが)。
守備的な選手が多めに配されており、攻撃は個の突破力に頼る部分もあるのですが、中盤から組織的にプレスしてくる守備は堅牢でスピーディに富んでいるため高速カウンターがハマりやすい布陣です。
2002年当時のセネガル代表
監督は、フランスの下位クラブチームで監督としてのキャリアを積んだ後、2000年にセネガル代表監督に抜擢されたフランス人のブルーノ・メツ。華々しいキャリアがあるでもないメツを監督に招聘したのは、セネガルサッカー協会がサラリーをケチったからとかなんとか・・・
そんなメツ監督ですが、それまでサッカーの成績はパッとしなかったセネガル代表を短期間でアフリカの強豪に仕立て上げてしまいます。その手腕は人呼んで「白い魔術師」と言われてしまうほど鮮やかなものでした。
元々、アフリカ系人種の身体能力の高さは折り紙付きのものであり、1990年代から、カメルーンやナイジェリアの台頭もあり、アフリカの「個」の能力に組織力が加われば、南米と欧州で牛耳るサッカー界にアフリカが風穴を開けるかもしれないと言われてはいました。
セネガルの代表選手たちの多くは、旧宗主国であるフランスのリーガアンに所属している選手が多かったため、メツ監督は、「個」を活かすベースとして、自国フランスで培った組織としてのサッカー戦術を選手たちに叩き込みます。
それが功を奏し、W杯のアフリカ予選を勝ち抜き、更にアフリカ・ネイションズカップの準優勝という実績を引っさげ、日韓W杯に乗り込んできます。
中心選手のファディガが韓国国内で万引きを起こして、一時拘束されるなどのハプニングがありましたが、逮捕されることもなく無事試合出場でき、ベストメンバーを揃えて開幕戦のvsフランス戦に臨みます。
相手のフランス。ジダンが怪我してベンチから外れていたとは言え、ジョルカエフ・アンリを中心にディフェンディングチャンピォンとしてバランスのよくとれたチームでした。
そのフランスを相手に、何と1−0でセネガルが勝利してしまいます。
フランスの有名選手たちはよりよいサッカー環境を目指してフランス国外を舞台に戦っていますが、セネガル選手の大半は逆にセネガルから輸出されるような形でフランスリーグで戦っています。フランスの最高峰選手たちを、フランスサッカーの土台を叩き込まれたセネガルが破ったのは、何ともいえない皮肉だったのかもしれません。
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