大人の事情で大同団結
2016年において、フランス代表が採用した4-3-3フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2016年のフランス代表のスターティングメンバー想定予想です。EURO2016の開幕戦。グループリーグAの対ルーマニア戦のメンバーになります。
リベリー、ナスリが代表引退し、大人の事情でベンゼマ、ヴァルブェナという優秀なアタッカーが、さらに、これも大人の事情でサコー、怪我でヴァラーヌやマテューと言ったレギュラーディフェンダーを招集できず、緊急事態となったEURO2016開催国フランス。 ですが、ここ数年続けてきている4−3−3をベースに、若手とベテランが上手く融合したチームになりました。
攻撃の核となる選手はいませんが、両サイドのグリエスマンとペイェが、2列目からバイタルエリアにかけてめまぐるしくフリーロールで動き回り、トップのジルーがポストプレーして落としたボールをフィニッシュするという形ができています。
中盤の3人は、いずれもスタミナがありボール奪取能力にすぐれたタイプ。 その中でも、ポグパは強烈なミドルシュートやドリブル突破などで局面を打開できる役割を果たし、カンテはアンカーとして、マテュイディはリンクマンとして高い位置からのカウンターにむすびつけるべく、DFラインと連携しながらカバーリングします。
両サイドバックはベテランのエブラとサニャ。ともに攻撃参加こそ少ないですが、状況判断に長けた安定感のあるサイドバックです。
センターバックは、スピード感がある簡単には裏を取らせないコシールニーと、空中戦や1対1に強いラミ。カンテと連携してトライアングルを作りながら、バイタルエリアを守ります。
レ・ブルーのキャプテンとして、すっかり、お馴染みになったロリスが、最後の壁になります。
華々しいシャンパンでもなく、大砲を要するでもなく、「走る」「囲む」「打つ」という、基本戦術を忠実にこなすメンバーを揃えた、4-3-3の教科書のようなチームができあがっています。
2016年(EURO2016、決勝トーナメント途中)当時のフランス代表
監督は、フランス人のディディエ・デシャン。クラブ監督として実績を上げ、2012年のEURO終了後に代表監督就任してから、丁度4年目になります。
ブラジルW杯では優勝したドイツ相手に負けてベスト8どまり。 その後、親善試合でスペインやドイツに勝つなど、まずまずの戦績を残し、開催国特権でEURO2016には予選免除というアドバンテージを活かしながら、チームを作り上げていきます。
そんな中で、2015年末にエースであるベンゼマらによるヴァルブエナへの恐喝事件が発生。 また、サコーのドーピング疑惑など、いくつかのスキャンダルが立て続けに起こり、レギュラーであったメンバーの数名を、代表から外す事になります。
また、ディフェンスラインを中心に怪我人も多く出て、選出されたメンバーも小粒感が否めない物となってしまいました。
が、2006年のワールドカップで準優勝した時なども、そうでしたが、こういう危機的な状況になると、個人主義のフランスが、一転して団結力を示します。
豊富な運動量を武器として、組織的な守備とフリーロールな攻撃。 4−3−3の特徴である、局所で三角形を作って連携する形をうまく作り上げます。
グループリーグは組み合わせにも恵まれて、スイス相手にスコアレスドローという結果になりながらも、首位突破。
決勝トーナメント1回戦もアイルランドに逆転勝ちして、準々決勝でイングランドを破ったアイスランドと激突します。
全体的にコンディションが上がっていない選手がちらほらいましたが、試合ごとに活躍する選手が入れ替わり、ここに来てグリエスマンやポグパといった中心になるべき選手の調子も上がってきているように見受けられます。
決勝トーナメントで「死の山」に入ったと言われつつも、アイルランド・アイスランドと比較的戦力の劣る国と当るという運、また、開催国としてのアドバンテージもあるため、今後の戦いぶりに期待が持たれます。
|