エル・ドリーム再び
2010-2011年シーズンにおいて、スペインのFCバルセロナが採用した4-3-3フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2010-2011年シーズンにおけるFCバルセロナのスターティングメンバー想定予想です。リーガの第13節目vsレアル・マドリード戦で、5−0で勝つという歴史的な「エル・クラシコ」を演出したメンバーとなります。
中盤から前のメンバーはほぼ固定されていますが、DFラインは不動のキャプテンであったプジョルが怪我がちであったことも重なり、右サイドのダニエウ・アウベス以外はわりと流動的になっています。
バルセロナお得意の3トップの内、両ウイングは、右がセカンドトップ的な役割も果たし運動量豊富なペドロ、左が本来はセンターフォワードのビジャが入ります。 この2人以外ですと、ボージャンやアフェライなどが使われていました。
真ん中はセンターフォワードというよりも、ゼロトップにメッシで、これは不動。
セントラルハーフのイニエスタとシャビ、アンカーのブスケツが中盤のパス回しにより平均で70%近いポゼッション率を保ちます。この3人の他ですと、ケイタやマスチェラーノが使われることもありますが、カンテラ出身の3人が中心になるのは言うまでもありません。
センターバックは、ピケが多く出ていますが、その他ですとアビダルかプジョル、場合によってはマスチェラーノが使われます。プジョルは前述したとおり怪我がちで、ファーストチョイスはアビダルになりますが、想定図の通りアビダルを左サイドバックで使うケースも多かったりしました。
右サイドバックは超攻撃的なダニエウ・アウベスで、ペドロを使わない時は右ウイングとした使われることもある選手です。その場合ですとアドリアーノが主に右サイドに入ります。左サイドバックはファーストチョイスではマクスウェルが入りますが、想定図ではクラシコのメンバーを重視して、アビダルにしています。
最後の砦にビクトル・バルデス。カシージャスがいるため、代表では毎度のようにセカンドGK扱いですが、バルセロナでは彼がレギュラーに定着して以降、安定した成績を残すようになっており、2000年代バルセロナ躍進の陰の立役者とも言えましょう。
2010-2011シーズン当時のFCバルセロナ
監督は、1990年代の現役時代に「エル・ドリーム」で大活躍したスペイン人のジョゼップ・グアルディオラ。
バルセロナのカンテラ出身でチームの象徴ともいえる人物が2007年にBチーム監督してバルセロナに戻り、翌年にAチームの監督に就任。1年目からいきなり、リーガ、国内カップ、欧州CLの三冠を達成してしまうなど、一時的に調子を落としていたバルセロナを完全に復活させるどころか、1990年代に世界を席捲した「エル・ドリーム」の再来とまで言わしめるチームを作り上げた名将です。
もともと、バルセロナというチームは中盤による細かいパスワークを駆使して、ポゼッションを高めて主導権を握り、そのまま圧倒的に押し切るという戦術を伝統的に続けています。
その一方で、「3点取られても5点取って勝つ」と豪語するように、攻撃面は圧倒的ながら守備面でもろさを露呈することもしばしばありました。
グアルディオラは、それまでの伝統的な攻撃戦術を保ちつつ、新たにプレッシングや攻守の切り替えタイミングなどについて細かい決まり事を作り、それらを子供のころからカンテラで叩き込まれているメンバーを中心に浸透させることで、チーム全体の守備力を飛躍的に高める事に成功しました。
パスワーク、高ポゼッションから発揮される攻撃力に目を奪われがちなバルセロナですが、それに加えて高いボール奪取率と素早い守備ゾーンを形成する組織による守備力。これらが相重なる事により、圧倒的な強さを身に着けたのであります。
2010-11シーズンは、国内カップ決勝でレアルマドリードに敗れてしまうものの、リーガと欧州CLを制覇、特にリーガの「エル・クラシコ」では5−0という歴史的なスコアをもって宿敵に勝つという離れ業を成し遂げてしまうのでした。
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