バトル・オブ・もすかう・イン・ザ・レイン
2007-2008年シーズンにおいて、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドが採用した4-4-2フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2007-2008年シーズン当時のマンチェスター・ユナイテッドについて想定予想のスターティングメンバーです。
かつては、「ファーギーズ・フレッジリングス」と呼ばれたファーガソン監督が少年期から育成してきたマンチェスターユナイテッド生え抜き選手を多く登用してきたチームでしたが、この頃には98-99シーズンでトレブルを達成したメンバーの多くがチームを去り、他クラブから高素質の若手を引き抜いてきて世代交代を図るシーズンが続いていました。
ユナイテッド生え抜きは、古くからいたギグス、スコールズと、右サイドバックのレギュラーを争っていたブラウン、G・ネビルくらいで、大半のメンバーは他クラブ出身者となっています。
その象徴ともいえるのが、FWのルーニーと右ウイングのクリスティアーノ・ロナウド。
ベッカムと入れ替わるように入団したロナウドは、当初はベッカムのようなサイドからのクロッサーとしてのプレーを望まれつつも、ドリブラーとしての自分を出しすぎて、うまくチームにフィットできない状態が続いてました。 が、本シーズンの前年頃から、サイドを抉るクロッサーではなく、中に切れ込むストライカーとしてのスタイルを確立してから、覚醒したような状態になり、この年、31ゴールを挙げてプレミアリーグの得点王に輝きます。
ルーニーも、この頃くらいから単なるストライカーではなく、セカンドトップとしてロナウドやテベスのサポート、前線守備もいとわぬなどチーム貢献度の高いプレーに徹するようになってきます。
その他、ルーニーとスタイルが似ていたため共存が難しいと言われたテベスや、往年のドリブルこそ鳴りを潜めつつありましたがベテランの味わいを見せる左ウイングのギグス、プレーメイカーとしてこれまた往年からの生え抜きスコールズに、若手ながらバランサーとして存在感を増していたキャリックが攻撃に参加します。
フラットな4バックは、センターバックとして間合いの取り方がうまいファーディナンド、パワフルで1対1に強いヴィディッチ、ネビルの怪我で本来のセンターバックから右サイドバックにコンバートされながらレギュラーを確保したブラウン、スタミナとスピードが豊富で積極的な攻め上がりも見せるエヴラで固めます。
最後の砦は、ファン・デル・サール。彼もまた、ファーガソンの目に止まりフラムから引き抜かれた選手で、マンUのGKユニ色から「緑の巨人」と呼ばれる存在でありました。
2007-2008年当時のマンチェスター・ユナイテッド
監督は、スコットランド人のアレックス・ファーガソン。
1986年にマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任してから2013年に退任するまで、マンチェスターユナイテッドで監督を続けた、欧州のトップクラブの監督としては類をみないほどの長期政権を築きあげた名将です。
2007-2008シーズンの時点では、22年目のシーズンを迎えております。
前述した通り、このシーズンは、トレブル達成時のメンバーが高齢化、引退、移籍などで多くがチームを去る一方で、2002年ごろから確保してきた若手の素質プレイヤーたちがようやく花開いた時期になります。
前年の2006-07シーズンで4シーズンぶりのプレミアリーグ制覇、欧州CL4強を達成。
そして、リーグ連覇と99年以来の欧州CL制覇の期待が高まった2007-08シーズン、リーグもCLも順調に勝ち星を重ねていき、どちらの舞台でもチェルシーと激しい戦いを繰り広げます。
まず、5月11日のプレミアリーグ最終節、マンチェスターUが負けるか引き分けたならチェルシーが優勝する目がありましたが、ウィガン相手に2−0で快勝し、きっちり優勝。
そして、5月21日、モスクワでの欧州CL決勝戦。プレミアリーグ勢での決勝戦はCL史上初となった戦いは、PK戦にもつれる好ゲームとなります。
マンチェスターUは3人目のロナウドが失敗し、チェルシーの5人目、主将のテリーが決めれば優勝という場面。そして、テリーは雨の降りしきるピッチに足を滑らせて痛恨のミスキックをしてしまいます。
土壇場でイーブンとなりサドンデスとなった7人目、アネルカのPKをデル・サールが止めて、見事にCL2度目の優勝。3人目で失敗したロナウドが感極まってピッチにうつぶせになって号泣し、5人目で失敗したテリーも涙を流しながら茫然とするシーンは欧州CL屈指の名場面となるのでありました。
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