バイエルンの伝統とバルセロナの哲学
2013-2014年シーズンにおいて、ドイツのFCバイエルン・ミュンヘンが採用した4-1-4-1フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2013年当時におけるバイエルン・ミュンヘンのスターティングメンバー想定です。
攻撃のキーは、左サイドハーフのリベリー。2列目でボールを受けて、得意のドリブルでサイドをえぐる事も中に切れ込むこともでき、ラストパスを出したり強烈なミドルシュートを放ったりするなど多彩な攻撃を仕掛けることのできる選手です。
もう片方の右サイドハーフは、爆発的なスピードで強引に切れ込んでくるロッベンや、駆け引きを得意とし相手守備陣を翻弄するミュラーが主に努めます。
1トップのマンジュキッチはポストプレイもし決定力もある上に、前線守備もいとわぬハードワークを身上とした現代的なセンターフォワードのレギュラーで、控えにベテランのピサロや、ゼロトップを採用する場合はゲッツェが入る場合もあります。
中盤の人材は多く、システムのバランスを取る司令塔クロースを中心に、ミュラー、シュバインシュタイガー、ゲッツェらが攻撃的なセントラルハーフとして機能。
中盤の底は1アンカーとなり、開幕前はチアゴやクロースが試されてましたが、開幕してから当初はゲームコントロールもできるシュバインシュタイガーや守備的なハビ・マルティネスが入ってました。 そのうち、サイドバックが本職のラームがコンバートされ、献身的な働きを見せるようになります。想定は一応、シュバインシュタイガーにしてありますが、ラームやマルティネスの可能性も十分あり、実際にゲームで活躍するタイプをチェックしないと判断つかないかもしれません。
サイドバックも人材が豊富で、両サイドできるラーム、ボリバレント性の高い左SBのアルバ、快速が武器の右SBラフィーニャ、攻守に安定感があり両サイドできるコンテントなどがいます。
センターバックの内、左はダンテがほぼ固定、右にファン・ブイテンやボアテング、また怪我が治ればバトシュトゥバーもレギュラー争いに加わることでしょう。
GKはドイツ代表のノイアー。ドイツは伝統的に世界的なGKを排出する傾向がありますが、彼もまた世界有数のGKの一人と言えるでしょう。
とにかく、色んなポジションで色んな選手が使われる可能性があり、誰かが怪我してもすぐに穴を埋められるだけの人材が控えているので、想定ポジションを提示するのが難しいです。 ひとまず、シーズン当初に雑誌などでよく想定されていた選手配置を、そのまま出しておきます。
ハインケス時代に、弱点と言われていた守備陣の整備がされて堅実なチームとなったことに加えて、圧倒的なポゼッションをベースに高い位置でのボール奪取からショートカウンターという、実にグアルディオラでバルセロナなサッカーが導入された事により、組織的にかつ圧倒的な攻撃をするチームになっているのが特徴です。
2013-2014年シーズン(2014年1月まで)当時のバイエルン・ミュンヘン
監督は、スペイン人のジョゼップ・グァルディオラ。選手時代は「ドリーム・バルサ」と呼ばれた黄金期のバルセロナ不動のビポーテとして、中盤の指揮を執った名手でした。
指導者としては、引退後にバルセロナBチームの監督を経て、バルセロナの監督になったのが2008年。一時期の不振に陥っていたチームに秩序と誇りを取り戻させて、就任1年目にいきなり三冠達成。監督就任から4期でリーガを3回、欧州CLを2回優勝するなど、手にしたタイトル実に14個をおさめ、選手時代以上の名声を築きあげた名監督です。
その彼が、ドイツの名門バイエルン・ミュンヘンに、その前2シーズンで準三冠と三冠を達成したものの、高齢を理由に監督業を引退したハインケス監督の後任として招聘されたのが2013年夏のことでした。
グアルディオラは、前任者が残した選手と4-2-3-1システムを継承しつつ、2013-14シーズン開幕前までに徐々にシステムを4-1-4-1へ入れ替えていきます。
それまで、攻撃に関してはロッベンやリベリーが個の力で敵陣をこじ開けていくようなサッカーを展開していたものから、高いラインと連動したハイプレスによるポゼッションサッカーへと変貌しました。
奇しくも、このスタイルはグアルィオラの出身であるバルセロナが伝統的に得意とするトータルフットボールの戦い方です。
バイエルン伝統の重厚なスタイルに、華麗な中盤とパスサッカーを持ち込んだグアルディオラの挑戦は、シーズン開幕から順調に進み、2013年の下半期を無敗で過ごした点からも成功しているといえるのではないでしょうか。
|