オペラ座のハリウッドスター達
2000-2001年シーズンにおいて、ドイツのFCバイエルン・ミュンヘンが採用した5-4-1フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2001年の欧州CL決勝vsヴァレンシア戦におけるバイエルン・ミュンヘンのスターティングメンバーです。
攻撃の中心は、センターハーフとして精度の高いパスを出すエッフェンベルグ。ピッチの内外で様々な騒動を起こす彼もピッチ上では、繊細なゲームメイクを行ういかにもドイツ人らしい優秀な司令塔です。尤も、この年は怪我の影響もあり、シーズンの半分を棒に降っていたりします。
中盤でエッフェンベルグをサポートするDHはイェレミースの役目でしたが、エッフェンベルグが怪我の間にCHとして頭角を現してきたイングランドのハーグリーブスが台頭すると、エッフェンベルグ復帰後はハーグリーブスがDHに回ることもしばしばありました。CL決勝は正にその時の布陣。
1トップのFWはブンデスリーガで外国人としては当時最も得点を挙げたブラジル人のエウベル。不思議とクラブでの実績の割に代表での活躍がほとんどないのですが、その決定力は折り紙付き。
なお、シーズン中には1トップではなく、2トップで3−5−2を組むこともあったようですが、その時の相棒はヤンカーやツィークラーのようなポストプレイヤーが入っていたようです。
左右のサイドハーフは、時にウイングとなり積極的に攻撃に絡んできます。左がショルで右がボスニア・ヘルツェゴビナのサリハミジッチが勤めてますが、タルナトやセルジオのようなウインガータイプの選手が入る事もありました。
守備陣はこの当時、世界最高のGKとされていたカーンを中心に、スイーパーにはリーグ戦優勝を決める劇的なゴールを上げるアンデション。身体能力の高いリンケとクフォーに、フランス代表サイドバックコンビのサニョルとリザラスが入ります。この5バックとカーンを含めた守備陣の堅牢さがバイエルンの特徴です。
先発メンバーどころか控えにまで各国代表クラスを抱える、国際色豊かなこの頃のバイエルン・ミュンヘンを評して「FCハリウッド」と揶揄する向きもありました。
2000-2001年シーズン当時のバイエルン・ミュンヘン
監督は、ドイツ人のオットマー・ヒッツフェルト。スイスのクラブチームのキャリアを経てドルトムントを立て直した実績から、1998年からバイエルンの監督に就任。バイエルン・ミュンヘンの黄金時代を築いた名監督です。
ちなみに、選手達とドイツ語での意思疎通を図りたいからという理由で、海外クラブから何度も監督招聘されていたそうですが、スイスとドイツ以外の話は全て断っていたとか。尤も、それで率いていたのがドイツ人の少ない「FCハリウッド」だったというのは、何ともいえない皮肉なことなのかもしれません。
何はともあれ、この時期のバイエルンは絶頂期でリーグ三連覇がかかっていました。
この年のブンデスリーガはシャルケが大健闘し、最終戦でバイエルンが負ければシャルケが優勝という所まで追い詰めていました。
最終戦のバイエルン、後半ロスタイムまで0−1で負けているという展開。3連覇ならずかと思われた時に、CKからアンデションの劇的な同点ゴールで辛うじて三連覇を成し遂げたのでありました。
一方、欧州CLも順調にグループリーグを勝ち抜け、決勝Tに進出。
準々決勝は2シーズン前に「カンプ・ノウの悲劇」で辛酸をなめさせられたマンチェスターUをホーム&アウェイともに勝利して撃破 準決勝は1シーズン前のCLチャンピォンで、世界屈指の攻撃陣を誇るレアル・マドリードを堅牢な守備陣が寄せ付けず、やはりホーム&アウェイともに勝利して決勝進出を決めます。
決勝の相手はスペインのヴァレンシアFC。決戦の場はインテル・ミラノの本拠地であるジュゼッペ・メアッツァスタジアム。オペラ座のあるミラノでの決勝戦ということで、UEFAでは「サッカーのオペラ」と銘打って決戦を煽っていました。
この決勝戦は両チームとも守備の堅いチーム同士の対戦であったこともありPKで1点づつ取り合ったものの、結局延長終わって1−1の同点で、PK戦にまでもつれこみます。 しかし、PK戦に強いのはドイツの伝統。バイエルン・ミュンヘンもその伝統の強みか、カーンが最後のキッカーのPKを見事に止めてCL優勝を成し遂げたのでした。
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