老師ファン・ハール
2014年において、オランダ代表が採用した5-3-2フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2014年当時のオランダ代表における想定予想のスターティングメンバーです。主にブラジルW杯本大会直前の親善試合などの傾向から当てはめています。
図のメンバー以外ですと、フォワードにレンスやカイト、ボランチにクラシーなどがいますが、おおむね固定メンバーとなります。
DFラインが大幅に若返り、中盤の要となるストロートマンをけがで失った、名将ファン・ハール率いるオランダ代表。さらに、2014年W杯本戦のGL初戦で王者スペインと激突することになりました。
このような状況を踏まえて戦術家ファン・ハールは、中盤でスペインとやりあうことを諦め、ゴール前を堅くすることでスペースを消し、ダブルボランチをともに守備的でガシガシ相手にあたっていくデ・ヨングとデ・グズマンを配置することで相手の良さを消すサッカーを選択。
カウンターチャンスを待ち、チャンス時にはサイドバックが一気に前線に持ち込んだうえで、スピードスターなサイドアタッカーのロッベン、万能フォワードのファン・ペルシー、トップ下スナイデルの3人の能力に全てを託すという、ファン・ハールにしては珍しく守備的で大雑把な戦略を以て戦術をくみ上げました。
守備陣は、前述したとおり若手中心のメンバーになります。空中戦に強いフラール、冷静な判断力に力強さを合わせ持つデ・フライ、左サイドバックもこなせて身体能力の高いインディ、左右ともに状況判断力が高く正確なクロスを上げられるサイドバックは左がブリント、右がヤンマート。
DFラインの前のスペースをダブルボランチがベタ引きして埋めて、素早いカバーリングから数的優位を武器に守り抜きます。
GKはシレッセン。欧州予選ではほとんど試合に出ませんでしたが、直前の親善試合などを経てレギュラー奪取。バランスの取れたタイプで安定感のあるタイプです。
2014年(W杯本番直前)当時のオランダ代表
率いる監督は、オランダの名将ルイス・ファン・ハール。高い名声と実績を誇る欧州屈指のサッカー戦術家ですが、自分の戦術への自信と規律性の高さからしばしば選手やフロントと対立することがある監督でした。
そんなファン・ハールが2度目のオランダ代表監督になったのが、EURO2012終了直後の2012年7月。
若手の抜擢が多い一方で、スターなベテランを冷遇することが多いイメージがつきまとうファン・ハールですが、今回のオランダ代表では、スナイデル、ロッベン、ファン・ペルシーといったスター選手にある程度の裁量を与え、若い守備陣のお目付け役にデ・ヨングをあてがうなど、60歳を越えたせいか人心掌握にも柔軟な姿勢を見せています。
また、W杯本戦直前で、得意としていたアヤックス・バルセロナ的な攻撃的ポゼッションサッカーを捨てて、5バックカウンターなシステムを取り入れるなど、戦術面でもかなり柔軟に対応しています。
そんな成果が、とかく個人能力は高いが組織的にもろく大勝負に弱いとされてきたオランダ代表を、トルコ・ハンガリー・ルーマニアといった曲者が揃った欧州予選にて9勝1分という好成績で本戦出場を決めるという結果を残したのでありました。
※さらに本戦でも王者スペインに5−1で圧勝するなどして、決勝トーナメント進出を決めています。
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