カリブ海沿岸の海賊カテナチオ
2014年において、コスタリカ代表が採用した5-4-1フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2014年のコスタリカ代表のスターティングメンバー想定予想です。主にブラジルW杯本大会の傾向から当てはめています。
守備時は5−4−1ですが、攻撃時にはサイドの4人がそれぞれラインを1列上げて3−4−3となるのが特徴です。
1トップのキャンベルは、スピードに優れたストライカーで、ドリブルもテクニカルなフェイントではなく、緩急をつけたリズミカルなドリブルを使うスピードスターです。
攻撃の中心となる右サイドハーフのルイスは、キャンベルとは逆にテクニカルなタイプで、サイドからのラストパスもできるし、自ら切り込んでゴールも狙いに行けます。 また、左サイドハーフのボラニョスもルイスに似たタイプですが、こちらは敵陣深くというよりも、ミドルシュートやアーリークロスを多用してきます。
中盤中央の2人はダブルボランチというよりも、守備的でボール奪取能力に長けたテヘダに対して、ボルヘスはぐいぐい前に出ていき、パスを出したりミドルシュートを打ってくる攻撃的なタイプです。
右サイドバックのガンボア、左サイドバックのディアスともにスピードを活かして上がっていく攻撃的なタイプで、攻撃時は両者ともにDFラインを越えて、サイドハーフの位置まで駆け上がっていきます。
スピードがあり1対1の駆け引きに優れたゴンザレスを中心に、ベテランでクレバーなウマニャと、空中戦に強いドゥアルテが中央を固めます。 なお、北中米予選ではラインコントロールに優れたアコスタがドゥアルテに代わってレギュラーとなっていました。
GKのナバスは、ラインを高く取り、裏を狙われがちな守備陣にとって、本当の意味で最後の砦。素早い判断で空いたスペースに飛び出しルーズボールを処理したり、あるいは1対1になっても驚異的なセービング能力でとにかくボールを弾き返します。
2014年(ブラジルW杯本大会)当時のコスタリカ代表
監督は、コロンビア人のホルヘ・ルイス・ピント。サッカー指導者としてのキャリアが長い監督で、32歳の時にコロンビアの名門ミジョナリオス監督からキャリアが始まり、中南米のクラブチームを中心に、2004年に最初のコスタリカ代表監督、2007年にはコロンビア代表監督も務めていました。
2度目のコスタリカ代表監督就任は2011年8月。前任のポルペ監督が、W杯までの契約を残しながら、ゴールドカップやコパアメリカで低調な成績しか残せなかった事により解任されたことを受けての就任でした。
もともと、コスタリカ代表は、伝統的に攻撃陣に人材はそれなりにいたものの守備陣に人を欠き、またコスタリカ人の性格からか組織的な守備をするのを苦手としていました。
そこでピント監督が考えたのが、5バックで中央を3人のセンターバックにがっしり固めさせて、サイドバックにつるべの動きをさせることを諦め、ボールを奪ったら、ラインを高く上げて、さらに両サイドともサイドハーフはウイングに、サイドバックはサイドハーフにともう1列上げるという、単純化させたカウンターサッカーを植え付けたのでした。 良く言えば「ダイナミックな試合中のシステムチェンジ」、悪く言えば「大雑把なカウンター」ということです。
しかしながら、3人残したセンターバックとダブルボランチの片割れがラインを高くすることで、ライン間で間延びすることを防ぎ、裏を抜かれた場合でも素早い判断と飛び出しでカバーすることができるGKナバスの存在により、この戦略は見事に当たります。
ブラジルW杯の北中米予選の2次リーグではメキシコに2連敗したものの、最終予選ではそのメキシコに1勝1分。首位通過したアメリカにもホームでは3−1で勝つなどし、北中米予選を堂々2位で通過します。
迎えた2014年ブラジルW杯の本大会では、ウルグアイ、イタリア、イングランドという優勝経験がある格上3チームと同居のグループDに入ってしまいますが、堅守と「ダイナミックなシステムチェンジ」のカウンターにより、2勝1分と世界中の予想を裏切って首位通過。
さらに決勝トーナメント1回戦もスコア1−1ながらPK戦で勝利。準々決勝のオランダ戦はスコアレスドローからPK戦で敗退してしまいますが、結局、全成績2勝0敗3分と1回も負けることないままコスタリカに凱旋することになるのでした。
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