ビッグネームなアタッカーの陰に隠れた「古豪」の堅守チーム
2010年のW杯南アフリカ大会においてウルグアイ代表が採用した4-4-2フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2010年の南アフリカW杯におけるウルグアイ代表のスターティングメンバー想定です。リニューアル前のゲーム内ワールドツアーのメンバーを参照しており、準々決勝のガーナ戦で採用されたメンバーとなります(そのため、レギュラーのはずであるゴディンとA・ペレイラは外されています)。
フォルラン、スアレス、カバーニと、3人が3人とも高いレベルで得点能力、ポストプレー、ラストパスなど全てをこなせる世界的にもトップクラスのアタッカーを贅沢に並べたフォーメーションです。
また、ウルグアイと言えば伝統的に強力なアタッカーがクローズアップされる陰で、チーム的には堅固な守備力を誇るケースが多く、このチームもキャプテンで攻撃参加も行うルガノ、ゲーム内想定では外されていましたがスペインで活躍するフィジカルに強いゴディン、ゴディンとタイプ的には似ているセカンドチョイスのビクトリーノらがセンターバックを務め、体幹に優れたペレスとリオスのダブルボランチとともにウルグアイ陣中央を固めます。
サイドバックは右の専門家で試合によってはウイングハーフも務めるマキシ・ペレイラと、左右どちらもこなせるフルーレがスピードに乗った攻撃参加をしてアクセントを加えます。
攻撃的なポジションと守備陣をつなげる役目は、ゲーム想定では右サイド寄りのプレーメイカーであるフェルナンデスになりますが、W杯でのファーストチョイスは左サイドのウインガーであるアルバロ・ペレイラの方になります。
このチームの守護神はPKストッパーとしても名高いムスレラ。2009年のW杯予選プレーオフから試合に出るようになったのですが、そのプレーオフで好セーブを連発し、そのままレギュラーとなりました。
なお、FW3人の名前に目を奪われがちですが、このチームの本質は堅守速攻のカウンターであり、実際W杯南米予選では得点力不足に苦しんだ挙句に大陸間プレーオフにまでもつれ込んだというのが実情であったりします。
2010年当時のウルグアイ代表
監督はウルグアイ人のオスカル・タバレス。1990年にもウルグアイ代表でW杯ベスト16を果たすなど実績のある監督でしたが、2002年にボカジュニーオルの監督を解任されて以降、約4年間各種オファーを断り、自信の戦術論の深化と「古豪」ウルグアイの強化策を練り続け、ウルグアイサッカー協会に提出した「代表チームと選手育成のプロセスについての制度化プロジェクト」というレポートにより、2006年冬に2度目の代表監督に就任します。
余談ですが、2010年時点では監督就任4年目になりますが、代表チームの成績向上を受けて、2020年現在に至るまで(新型コロナの影響で2020年3月に一時的な解雇はされましたが)実に14年以上、サッカー強豪国の代表監督としては珍しい長期政権を築いています。
そのプロジェクトは簡単に言えば、U-15からA代表までを同一の方向性で一貫した強化をほどこすことで、バルセロナのカンテラなどクラブチームで行われていることを国代表に適用するというものでした。
この強化策の最初の成果が2010年のワールドカップ4位という成績です。
その道のりは平たんではなく、上述通り、この強化策で育てられたスアレスやカバーニにフォルランを加えた強力なフォワードがいるにもかかわらず、得点力は高くなく、南米予選は6勝6敗6分で5位、プレーオフでもコスタリカ相手にホーム&アウェイの合計2-1で辛うじて勝ち抜けるという状況でした。
とはいえ、キャプテンに抜擢したルガノを中心とした伝統の堅守は健在で、W杯本体のグループステージは、フランス、地元南アフリカ、メキシコという厄介なグループでしたが、失点0の2勝1分で1位通過。
決勝トーナメントは比較的相手に恵まれ1回戦韓国を2-1、準々決勝ガーナは1-1でPK戦で下し準決勝まで進出します。
準決勝のオランダ、3位決定戦のドイツにはともに2−3で敗れてしまいますが、古豪復活ののろしを上げた成果を果たしたウルグアイ代表は、ほぼ同じメンバーで戦った翌年のコパ・アメリカでは優勝を果たす事になります。
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