電光石火のフィジカルカウンター
2018年において、フランス代表が採用した4-2-3-1フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2018年のフランス代表のスターティングメンバー想定予想です。ロシアW杯決勝戦、対クロアチア戦のスターティングメンバーになります。
2016年に自国開催のEUROを準優勝。この時は、スキャンダルもあり、堅実なメンバーでまとめて全体的には攻守で核といえる選手を欠きながらも、組織的な守備とフリーロールな攻撃で勝ち進みました。
その2年後、デシャン監督は、中盤の堅実さはそのままに、攻撃陣はグリーズマンとムバッペが引っ張り、ディフェンスラインは総入れ替えでヴァランらが引き締めるという、安定感高いチームを築きあげました。
トップ下のグリーズマンと、右サイド寄りに位置取るムバッペが攻撃の中心。ともに、爆発的なスピードと得点力を併せを持つ選手です。1トップのジルーはW杯では結局、無得点ながらも、デシャン監督の信頼厚く、フィニッシュ部分は前2者に任せて、地味ながらレベルの高いポストプレーに前線守備と、最後まで体をはったプレーを続けていました。
中盤の3人は、3人ともフィジカルに優れてボール奪取能力にすぐれたタイプ。 2016年時と役割がほぼ一緒でボグパは攻撃の起点となるパス出しに加えて強烈なミドルシュート(W杯決勝でペナルティエリア外からゴールしたのは、36年ぶり)を打て、アンカーのカンテはポグパ、マテュイディと連携しながら守備ブロックを形成してバイタルエリアで門番役を果たし、マテュイディは相手右サイドの攻撃を封じつつ、時に攻撃陣へのリンクマンとなる、というような安定感ある中盤を形成していました。
なお、Webサカにあわせて4-2-3-1としていますが、実際のところは4-3-1-2に近いです。ただし、マテュイディのところは、相手右サイドの選手次第ではトリッソやレマーといった、攻撃的なウイング選手を配置する試合もあり、その時は4-2-3-1として戦っています。
ディフェンスラインは2016年メンバーから全員総入れ替え。サイドバックの2人は攻撃参加は多くなく、どちらかといえば大型なセンターバックタイプで空中戦にも強く、ヴァラン、ウムティティらもあわせて、センターバックタイプが4人並んだ形になります。
最後の壁はキャプテンのロリス。W杯では得点につながるミスもいくつかありましたが、全体的には安定感の高いセービング、裏を突かれた時の飛び出しのタイミングの良さなどで、その能力をいかんなく発揮します。
堅実な守備陣とスピード感ある攻撃陣という、典型的なカウンターチームです。そのチームスタイルは時に、格下相手に物足りない試合をすることもありますが、とかく結果を出せるチームであることは、W杯優勝というビッグタイトルを手に入れたことで証明されたといえるでしょう。
2018年当時のフランス代表
監督は、フランス人のディディエ・デシャン。選手時代にフランス代表のキャプテンを務めるほどの人物であり、指導者としても2012年からフランス代表を率いて、実に6年目のシーズンとなる長期政権を築いています。
スキャンダルや怪我人、代表引退などで主力の大半がいなくなったチームを立て直し、2016年のEUROで準優勝。
この時点では、期待の若手は多くいるものの、主戦力はベテランが多い状態でしたが、その期待の若手たちが成熟。さらに、ムバッペというラストピースがハマったことで、W杯前にはかなり前評判の高いチームでした。
ところが、W杯のふたを開けてみると、グループリーグの格下オーストラリア戦は1-1からオウンゴールで勝利、ペルーに1-0で勝ったものの、デンマークにはスコアレスドローとぱっとしない戦い方をしています。
しかし、決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦は、一転して打ち合いになり、パヴァールのスーパーボレー(今大会のベストゴール)やムバッペの2ゴールもあって4-3で勝利します。
準々決勝のウルグアイ戦を2-0、準決勝のベルギー戦を1-0と、強固な守備陣が相手の攻撃を寄せ付けず、得点差以上に安定感ある試合巧者ぶりを見せて決勝進出。
決勝の相手は、華麗なパスワークと豊富なハードワークを併せ持つクロアチア。
ただ、ここまで決勝トーナメント全ての試合で延長戦を戦ってきたクロアチアは疲れも目立ち、試合開始直後こそクロアチアのハードプレスにフランスが押し込まれ気味になったものの、オウンゴールなどがあって前半を2-1とフランスリードで折り返し。
そして、モドリッチを意識しすぎて、試合から消えかかっていたカンテを、後半早々にエンゾンジへ代えるという決断がおおいにハマり、フランスは立て続けにカウンターから2点を挙げて勝負あり。マンジュキッチが意地を見せたものの、最終的には4-2というスコアで、フランスはW杯2度めの優勝を果たすのでした。
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