伝統と引き換えた最強
2014-2015年シーズンにおいて、スペインのFCバルセロナが採用した4-3-3フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2014-2015年シーズンにおけるFCバルセロナのスターティングメンバー想定予想です。リーガの第37節目vsアトレティコ・マドリード戦などのメンバーになります。
このシーズンはローテーションを採用しており、ほぼ全ポジションで2人以上のメンバーが配置できるだけの選手層の厚さを誇りました。
3トップは、左からネイマール、スアレス、メッシ。 シーズン当初は、スアレスが右ウイングに入り、メッシがやや下がり目のセンターフォワードで、いわゆるゼロトップを形成していましたが、中盤以降は右にメッシ、センターフォワードにスアレスとなりました。
中盤は1アンカーでセントラルが2人と、バルセロナの伝統的な布陣。アンカーの中心はブスケツで、時にはマスチェラーノを使う事もありますが、中盤の選手で最も試合に出た選手はブスケツでした。
セントラルハーフはイニエスタ、シャビ、ラキティッチの3人がメイン。長らく、バルセロナ・スペイン代表を支えたシャビとイニエスタも年齢による衰えは隠せず、ラキティッチやラフィーニャがスタメンで出てくる試合も数多くありました。なお、シャビはこのシーズン終了後にバルセロナを退団することになります。
センターバックは、ピケ、マスチェラーノの他にマシュー、バルトラらが使われています。特にマシューは、センターバックのみならず左サイドバックでも使われることがあり、扱いはバックアップメンバーになりますが、その中でも重要な1人として見られていました。
右サイドバックは超攻撃的なダニエウ・アウベス、左サイドバックも運動量が豊富なジョルディ・アルバと、共にスピードに乗った攻め上がりを見せるタイプです。前年までの左サイドのレギュラーで両サイドできるアドリアーノや、センターバックと併用で使われるマシューらが控えます。
このチームのGKは、リーガとカップ戦とで徹底して区分されており、リーガではブラーボ、カップ戦ではシュテーゲンがレギュラーとして使われています。この徹底ぶりは、シュテーゲンはリーガでは1試合も使われなかった(第3GKのマシップですら1試合だけ出場している)のに、欧州CLでは決勝戦のGKを任された所にも表れており、同レベルクラスの名手を2人抱えたチームで、上手く併用した一例になるかもしれません。
2014-2015シーズン当時のFCバルセロナ
監督は、2000年代前半の頃にバルセロナのキャプテンとして活躍したスペイン人のルイス・エンリケ。
現役引退後、バルセロナBの監督として指導者キャリアを始め、ASローマでは不振で解任されたものの、セルタでチームの立て直しに成功するという実績をあげます。そして、グアルディオラ退任の後、1年ごとに監督が代わったバルセロナの監督に就任するのでありました。
バルセロナと言えば、ポゼッションにこだわり、じっくりとしたパスサッカーを標榜するという戦術が、伝統的に続いてきましたが、前年にレアルとアトレティコの両マドリードに苦杯をなめられた反省を踏まえて、それまでの伝統を変えて、相手によってはカウンターを戦術に取り入れるなど、悪く言えば変節、よく言えば柔軟ともとれる方針に切り替えていきます。(※それまでのバルセロナを支えてきた根幹にかかわるという事で、バルササポーターのみならず世界中のサッカーファンの中でも、この点は賛否両論であった)
さらにエンリケは、積極的にローテーションを採用し、カンテラ出身のブスケツ、イニエスタ、シャビなども例外なくスタメンから外し、GKもリーガはブラーボ、カップ戦はシュテーゲンを使うように徹底するなど、選手層の厚さを活かした采配を振るいます。
唯一の例外がメッシで、メッシを外した試合で0−1で負けて、メッシとエンリケの確執が表面化した後は、シャビが仲立ちに入り、ポジションをセンターから右ウイングに変更した上で、ほぼ毎試合、先発で使われていました。
一時的な不振はあったものの、リーガの後半になると、他チームと選手コンディションに差が見え始め、ハイパフォーマンスを維持し続けます。
特に、後半戦の「エル・クラシコ」や、優勝を決めた37節目のアトレチコ・マドリード戦は、終始危なげない試合展開を見せて勝利し、最終節を残してリーガを制覇。
スペイン国王杯、欧州CLとあわせて史上2回目のトレブル(三冠)を達成するのでありました。
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