ミラクル・ターキー
オーストリア・スイス共同開催のEURO2008でトルコ代表が採用した4-4-2フォーメーションについての想定予想です。
モデルの想定・その他のケース
左図は、2008年のEUROオーストリア・スイス大会におけるトルコ代表のスターティングメンバー想定です。EURO本選では毎試合のようにメンバーを入れ替えており、このスタメンはWebサカ2のワールドツアーで採用されていたグループステージ3試合目のチェコ戦メンバーになります。
メンバーの入れ替えは多いですが、典型的な中盤のプレスを使った堅守速攻カウンターで主にサイドを使って逆襲するのがメインの戦術になります。
エースストライカーのニハト・カフヘジは主に右サイドからスピードに乗ったドリブルで切り込むタイプのフォワードで、過去に所属していたレアル・ソシエダでは大型のコバチェビッチとの2トップを「リトル&ラージコンビ」と呼ばれるなど人気と実力を兼ね備えた選手と目されていました。
もう片方のセンターフォワードはチェコ戦ではシェンテュルクがスタメンでした。典型的なストライカータイプで、EUROでは主にスーパーサブとして大事な場面でゴールを挙げるなど活躍していました。 なお、彼以外ではイギリスとの二重国籍を持つカジム=リチャーズなどが出ています。
中盤はフラットに並んでおり、左サイドのアルダ・トウランがこのチームの要。ただ、彼のマークが厳しい時は逆に右サイドからの攻撃も多くなります。 右サイドハーフとしてはチェコ戦などではトゥンジャイ・サンリ、ほかの試合ではフォワードもやるカジム=リチャーズなどが入りました。
センターハーフの2人はともに守備的で試合によってはセンターバックでも先発したトパルとブラジル出身者らしくテクニックもあるアウレリオがチェコ戦ではスタメン。 ほかにも2002年のW杯にも出ており日本人なら覚えている人もいるかもしれないエムレ・ベロゾールやトゥメル、また準決勝のドイツ戦ではGSでは右サイドバックだったアルティントップがセンターハーフとして先発しています。 4バックで右サイドバックは前述通り、スタミナとパワーにあふれたアルティントップがレギュラーですが、ドイツ戦ではけが人が多く出ていた影響でボランチに回り、サルオールがスタメンに出ていました。 左サイドバックはセンターバックもできる守備的なバルタが不動。
一方、センターバックはけが人が多く出ており、チェコ戦でスタメンで出た2人、マンマークに強く位置取りがうまいチェティンとフィジカルに強いギュンギョルは決勝トーナメントには出場できないありさまで、ザン、アシク、カティンや最後には守備的MFのトパルもセンターバックとしてスタメンに使われていました。
ゴールキーパーはベテランのレチベルからクラブでも代表でもレギュラーを奪取したデミレル。反応速度が速くビッグセーブを見せることもしばしばですが、ちょっと安定感に欠けるところもあり、EURO2008では不用意なレッドカードをもらってしまい決勝トーナメントの2試合はレチベルが出場しています。
2008年当時のトルコ代表
監督はトルコ人のファティ・テリム。現役時代はトルコの強豪ガラタサライのディフェンスリーダーとして活躍し、引退後はトルコの中堅クラブの監督を務めた後、トルコU21代表監督から1993年から3年間トルコ代表監督も務めてEURO1996でトルコ史上初の本選出場も成し遂げています。
彼の指導者としてのハイライトは1999-2000年シーズンのガラタサライ監督時代で、国内リーグで4連覇、国内カップも獲得しUEFAカップに優勝してトレブルも達成したことです。 この成功からフィオレンティーナやACミランなどセリエAの監督も数年務めることがありました。
二度目のトルコ代表監督就任は2005年からですが2006年のドイツW杯は欧州予選はプレーオフで敗退。 EURO2008の予選も最終戦で引き分け以下なら敗退が決まるところをボスニア相手に1-0で辛勝して何とか本選出場を決めていました。
迎えた本選は、ポルトガル、スイス、チェコと同組で初戦のポルトガル戦は0-2で完敗してしまいます。
さらに、2戦目のスイス戦も先制点を許し苦しい流れでしたが、後半早々に同点、さらに終了間際で勝ち越しゴールをあげて勝利し、さらに3戦目のチェコ戦では0-2から後半30分に1点を返し、さらにラスト3分で逆転。決勝トーナメントに勝ち上がります。
決勝トーナメントの1回戦はクロアチア。前後半ともに押されっぱなしながらなんとかスコアレスで延長戦に突入。 そして、延長後半14分、試合終了間際でついにクロアチアにゴールが生まれて、これまでかと思われましたが、約2分のロスタイムのほぼ最後、やけくそ気味の自陣からのフリーキックがペナルティエリア内にこぼれて、この日は途中出場だったシェンテュルクが押し込み土壇場で同点。PK戦はクロアチアのラキティッチ、モドリッチら名手が外してしまう幸運も重なり、まさかのベスト4進出を決めます。
さらに奇跡は終わらず、準決勝のドイツ戦も1-2から残り4分で同点に追いつき、ここまでの3試合同様、多くのサッカーファンがトルコの逆転勝ちをイメージしたものでした。
しかし、終盤の粘りならドイツのお家芸といわんばかりに、ロスタイムに決勝点を入れたのはヒツルスペルガーとのワンツーでペナルティエリアを突破したラームのゴール。ミラクル・ターキーの冒険はここで終わってしまったのです。
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