Angelic Vale新伝〜エフェメール島綺譚〜レビュー



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システム面
★ルート選択&エンディング:
 前々作には存在した各キャラエンドは前作同様に今作もありません。
 その代わり、ルート選択が存在します。

 ただし、エンディングは一つしか存在しておらず。結局、どちらのルートもクリアした上で、ようやくメインシナリオが進むと言う形になっているため、マルチシナリオとかマルチエンディングとかな形は取っていない様です。

★ステージ数:
 プロローグ含めて4章立てで、プロローグ1面、剣戟の遺産8面、迷い子達7面、よみがえる光9面がメインシナリオで、その他におまけステージが14面で、全部で39面。メインだけでも25面あります。

 にも関わらず、クリアしてみると微妙にボリュームが足りない感じを受けます。
 恐らく、1面毎のマップがあまり広くなく大局を考えつつユニットを動かすと言う事が余りなく、目の前に見えている局地的なユニット移動を考える程度で済んでしまうからかもしれません。

 だからと言って、これが問題であると言うものではありません。じっとマップの全体を見回しながら長考すると言うのが好きな人には軽すぎるようにも思えますが、そこまでしなくてもと言うライトユーザーなどには適度なSRPGと言えるかもしれません。

★データ引継ぎ:
 前作では、前々作のデータを引き継げたり、1度エンディングを迎えたデータは2周目引継ぎと言う形で金やアイテムやキャラレベル等を引き継いだ状態でゲームを行えたのに対して、今作はその手のデータ引継ぎは一切存在しません。そもそも、マルチエンディングではないので、データ引き継いで2周目始める事の意義が少ないような感じなので、ラスボス倒した後「よみがえる光」を選択して、アイテムゲット等の為に掃討戦や闘技場などをプレイし続けるという形のWizardryスタイルで良いんでないでしょうか。(一部、ストーリー内でアイテム取らないとずっと取れないアイテムとかあったりしますがorz)

 特に前作をインストールしていないと前作をインストールしている人より不利な状態でゲームを始めるといった心配をする必要が全くなかったりします。

(重要)※6月10日のバージョンアップパッチにより、エンディング後に2週目データ引継ぎ機能が追加されました。又、周回にあわせて敵ユニットの能力も変化するようになっている様です。

★セーブデータ:
 今作も前作に引き続き50個のセーブ領域が存在します。ただ、今回はイベント回想モードもありますし、2周目引継ぎなども存在しないので、全てのデータスロットを使い切ると言う事はまずないと思います。

 (6月10日のバージョンアップパッチにより、データスロットが100個まで増加)

★SRPG:
 古き良きウエイトターン制のSPRG。どちらかと言うとウエイトターン制は古くから定着してしまったシステムって事で敬遠したり非難したりするユーザーも結構いるぽいですが、これはこれで落ち着いてじっくり考えながら遊べると言う利点もあるので、悪いシステムではないかと。でなければ、とうにウエイトターン制なんて消えてるはずですが、現在でもこのゲーム以外にもウエイトターンを採用したSLGやSRPGなどは多々あるのが現実。

★その他:
 発売2日目にして早くも致命レベルの障害修正パッチが出てしまい、前作の悪夢再びかと思いきや、その後は細かい表記などについての誤表示はそれなりにありますが、致命的なレベルの障害は出ていない様です。

 ただ、まぁ、なんつーか・・・メーカー系プログラマの観点から言うと、正常系進めてるのに発生する様な致命欠点抱えた状態で市場に出すなよなぁと。それも2作続けて・・・・・・って書こうと思ったら、スッタフルームでもプログラマの人が思い切り反省していたり。
 まぁ、ゲームソフトって多分にチェックするのが難しいジャンルなんだろうなとは思うし、人員少ないみたいですから大変なんだろうなぁ。
(6月10日追加)
★パワーアップパッチ:
6月10日に、CR6公式などに出ていたユーザーの不満を掬い上げる様な形で、パワーアップパッチが登場しました。
これにより、エンディング後のデータ引継ぎプレイ、武具・防具の強化、刃砲による被攻撃時の反撃、新秘石の追加、等の要素が追加されています。


戦闘パート
 前2作と比べて、今作から戦闘システムにそれなりに大きな変化がありました。

★一斉攻撃の強化:
 以前の一斉攻撃は、PC側のみが指揮官とその配下で敵ユニットを囲んだ上で2ユニットによる同時攻撃。メリットとして、反撃を受けるのは必ず一人だけで済むと言う点にありました。

 今作から、一斉攻撃は攻撃射程範囲にいる全ユニットが敵の1ユニットに対して一斉攻撃を行うと言う仕様に変更されてあります。

 メリットとしては、以前同様、反撃を受けるのは一人だけであるのと、コマンドを与えた部隊以外のユニットでも一斉攻撃に参加する事ができるので相当なダメージを与えられるようになった点ですね。
 この一斉攻撃システムは敵側も利用してくるので、下手なユニット配置を行えば一斉攻撃の的になって一気に危ない状態に陥る事もなきにしもあらずです。

 2人程度で一斉攻撃やってもその威力は大した事ないですが、上手く使えば相当な威力を発揮できるので、色々と配置を考えてみるのも面白いかもしれません。
 特に銃士系は、巧いい事配置してやる事で二正面作戦のどちらにも攻撃参加できるなどのメリットが多い為、以前にも増して凶悪なユニットと化してます。

 なお、指揮官とその直属部下の一斉攻撃は命中さえるすれば与えられる予測ダメージそのまま通せますが、サポートとして表示される別部隊の指揮官及び配下からの攻撃は若干通常の与ダメージより少ない値を通す事になります。まぁ、それでも数の暴力によって結構なダメージ与えられますが。

★SGとMPの区別化:
 前2作までは、一定量のMPが溜まれば特殊技を持っているキャラは、MPを消費する事で特殊技を使用できたのですが、今作からは、MPの他にSG(スピリットゲージ)が登場しました。

 MPが1ターン周ってくる毎に1MP自然回復すると言うシステムなのに対して、SGは敵の指揮官ユニットを倒すと1P、配下ユニットを倒すと1/3P増加すると言う物になり、このポイントは各キャラ固有の物ではなく、パーティ全体で共有するポイントになります。  なので、前作までの様に各キャラがポンポン特殊技を使えたのに比べると、1マップについてそんなに多くの回数特殊技が使えないので、特殊技の使用については柔軟な対応が必要になると思います。

★難易度:
 前作までは、配下つけなくても楽勝というステージが圧倒的に多かったですが、今回は配下いないと苦しいステージが多いです。特に、前半の剣戟ルートと迷い子ルートは、限られたユニットとアイテムで戦わされる事が多い上に、逆相性の強力な特殊技を使う敵ユニットがちらほらいるので、油断すると瞬殺される事すらあります。
 適度に歯ごたえがあって、良い感じですね。ただ、ラストステージは全シリーズを通じて、一番楽でしたが。こっちは逆に拍子抜け・・・


操作性
 基本的に前作のUIを引き継いでおり、多少のマイナーアップは見受けられていますが、概ね悪くはないのではないかと。

 不満を挙げると、やっぱ指揮官ユニットと配下ユニットの操作系が同一ウインドウで行われるので、たまに配下ユニットで攻撃したつもりだったのに、指揮官ユニットで攻撃していたとかのミスを起こしやすいとかでしょうか。

 まぁ、ここらへんは人によって便利不便の分かれそうな所ですが、全体的には不満はそんなに大きくはなりません。


グラフィック・サウンド
★ボイス:
 声優さんの事知らないし、菓子屋には演技の良し悪しとかも良くわかりません。
 有名な声優さん達を集めていると言う事なので、外れるって事はないと思いますが。

 今回、既存キャラ達についても特殊技時のボイスが大幅に一新されており、前作からの使いまわしみたいなのはほぼ皆無に近くなっていると思われます。声優さんの演技を聴くのが楽しみと言う方には、堪能できるのではないでしょうか。

★サウンド:
 サウンドは新規の物と前作からの使いまわしとで半々くらいな感じですね。

 ただ、前作から中々に力量あるサウンドを用意してくるメーカーなので、そこらへんは期待に添えたものができていると思います。

★グラフィック:
 3D関連は前作とほとんど変わりありません。

 エフェクトは相変わらず綺麗ですが、2chで不満がもらされていた様に、そろそろ新しい要素を追加しても良いのではないかと思います。

 その現れの一つが、ファンの要望などもあったのではないかと思われますが、数枚とは言えシナリオの切れ目にイベント1枚絵が表示される様になった点ではないでしょうか。原画担当のLEEXさんの画力を顔絵だけで限定するのは勿体ないと思っていたので、個人的には嬉しい所でもあったりします。

 ただ、これも一長一短かも。以前は硬派を詠っていたのに、やや方針転換した嫌いが見え隠れしています。あの程度の枚数なら、硬派を貫いてもっと別の所に力を入れた方が良かったのではないか?と言う意見もありそうなので、次回作以降にCR6がどの様な解答を見せてくれるか興味深い所です。


ストーリー・キャラクター
★ストーリー:
 個人的には今作で一番不満な所。AVPはAVとAVEの繋ぎの作品と言う事で、あんなのもアリだと思ってましたが、結局、AVEもAVPのノリをやや薄めた程度で、本質的にはAVPに近い気質を受け継いでいるかに見えます。(ネタバレ)美味しそうな蟹とか美味しそうな蛸とか。結局、フィオはたこ刺し食わなかったんだろうか。タコ焼きなら食えたんだろうか。

 個人的に大体の傾向として思ったことなのですが・・・「サプライズ」が全くない様に思えるんですよね。発売1ヶ月前にデモムービー見た時、(ネタバレ)ユベール見た瞬間、絶対、こいつは何か得体の知れない物を取り込んだりしてラスボス自身になるかラスボスを召喚とかした挙句、ラストステージ1つ前辺りでラスボスに殺されてしまう可哀想そうな狂人だと思ったものでした・・・・・・ってな感じで、ほぼ予想通りだったんですよね。ここらへん、ちょっと底が浅いと言うか予定調和と言うか。

 AVがベルーナ王国の過去の王宮革命から連動した王室内紛劇と言うそれ一つで色々と妄想膨らまさせたくなるようなキャンペーンシナリオが出てきそうなバックボーンを持っていたのに対して、今作のバックボーンは戦乱時に作られた秘密兵器を巡る騒動。何かどっかで聞いた事あるつーか、使い古されている話の流れと言うか。

 まぁ、良く言えばオーソドックスとも言える所ですし、変に奇を衒って失敗するよりは良いのかもしれませんが、何かちょっと一押し欲しいかなぁと思ったものでした。

★キャラクター:
 今作から、イベントCGが出る様になったので、イメージ的な魅力は増えましたね。

 後は、声優さんの演技とかも悪くなさそうですし、各キャラクターそれぞれに味のある動きをしていました。ただ、今作登場のキャラ、特にアロンドラとエトワール。何か微妙な印象を受けてしまってます。アロンドラ、もうちょいその性格なんとかならんのか('A`)ヴァー


その他
 その他というか、ライブドアとの提携により、ゲームオンデマンドのタイトルの中にAVEが入り、又、ライブドアブログではテンプレにAVEのテンプレが登場しているようです。

 ブログはどーなんだろう・・・これで、AVシリーズがポンポンと発売されて、書くネタが続く様ならそれはそれで良いのかもしれませんが、ネタないとAVE遊び飽きた途端、放置されるような気が。つか、テーマを持ったブログってそーゆーもんなんのかなぁ?色んなブログ見てると、純粋に日記みたいなブログは割と長続きするけど、テーマをしっかり持ったブログほど早く更新が停止してしまっているような気が・・・

 ゲームオンデマンドも、高スペックPCを揃えられないもしくはややロースペックなノートユーザーで、かつインターネットの回線状況が良好なユーザー向けって感じで、本当にやろうって気になる人は限られるんでないでしょうか。実際問題、AVE遊びたいって人が、あのスペックを揃えられないとは思えないし。まぁ、その限られたユーザーの救済策でもあるし、メーカとしても商売である以上、売上に関わる商談はきちんとまとめて安定した経済状況作っておかないと、いざって時に困るでしょうから、そんなに悪いもんではないかなーとは思ってます。

 まぁ、大半のユーザーには余り関係ない話で、やってみたいけどパッケージ高すぎ、しかも体験版やろうとしたらまともに動かなかったようわーんって人は体験版やるつもりでやってみて、それで面白そうだったら持続してお金払うって形で良いんでないでしょうか。
 他にやる事あるだろって声も聞こえてきそうですが、ぶっちゃけた話、この商談とゲームの出来は別問題で、むしろライブドアがこのゲームを評価したと考えられなくもありません・・・・・・・・と、社会人の観点から擁護してみるテスト。ゲーマーとしては「他にやる事あるだろ!」ですけどね。


総合評価
 掃討なしでラスボスとの遭遇まで約6、7時間程度プレイした時点での個人的な感想を。

 何かマップが狭いなぁと言うのと、発売前にログインなどで出ていた「シナリオ分岐」の正体が、単にパーティを分割してそれぞれのグループで戦闘を行うと言う代物であり、てっきり、マルチエンディングへのシナリオ分岐があるのかと思っていたのでやや拍子抜け。まぁ、勝手にこちらがそう思い込んでいたのが悪いと言えば悪いのですが。

 ストーリー全体で見ても、王道シナリオと言えば王道なのだけど、進行が素直すぎて、工エェ(´Д`)ェエ工と言いたくなる部分もあるかもしれません。

 今回はいわゆる2周目プレイとかがなく、アイテムコレクションにしてもイマイチやる気が沸かなくなる仕様でもあったりします(何せ、取り逃がしたら最後ってアイテムあるし・・・)。そんなもんで、やりこみ度と言う点では他のSRPGと比べてやややる気がそがれてしまいます。
 ただ、今回、闘技場と言うシステムが採用されました。このシステムをより洗練させる事で、そう言った2周目プレイやらアイテムコレクションを上手い事フィードバックさせる事ができるのではないかと思いますので、ロゼータ先輩には次回作にも出番があるようでしたなら、頑張ってもらいたいものです。。
 まぁ、何つーかWizardryをSRPGでやるのってシステム考えるの結構難しいですよね。

 とりあえず、ボリューム的にはステージ数の割にさほどの物を感じなかったので、大掛かりな戦略を堪能してみたいと言う人には不満が残るかもしれません。まぁ、お手軽にちょいと遊んでみるかと言う気分でいるなら、難易度はシリーズ中ではそこそこ高い部類に入りそうなので、悪くないかもしれません。

 一枚絵によるイベントCGが増えたり、所々に差し込まれたショートコントみたいな掛け合いはそれなりに楽しめるとは思います。

 まぁ、ここらへんも、俺はもちっと重いシナリオを持った重厚なSRPGやりたいんだーって人には微妙に思われる所かもしれませんが。

 個人的な結論としては「ちょっとライト感覚で、SRPGをヒマ潰しに遊びたいな」って人にはピッタリかもって所ですね。


 なお、上記の評価は管理人(菓子屋)個人の趣味嗜好に沿った観点での評価です。言うまでもなく、人によっては全く違う意見を有する事もあると思われます。
 あくまで、一個人の意見として参考にされる程度にとどめていただければ幸いです。


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